HairCutKAZO

HairCutKAZO代表の粟野カズオさんは、中学生の頃通っていた床屋さんに飾ってあったヴィダルサスーンのポスターを見たとき、
「こんな髪型ができるんだ！」、
と衝撃を受けたそうです。

子供のころから何かを作る職人（料理人とかデザイナーなど）になりたいと考えていたため、美容師の道に進もうと決意したそうです。親御さんの勧めもあり、高校までは普通に卒業し、その後美容学校へ進学しました。

美容学校の学生時代にアルバイトしていた美容室の先生に、この辺りで一番厳しく、腕の良い先生を紹介してくださいとお願いし、修業時代を過ごすこととなった「美容室よしろう」に勤め始めました。
当時は、徒弟制度から現在のような体制に代わる変革期だったため、1から教わるというよりは、職人風に目で見て盗むという方が多かったそうです。男性美容師が静岡県東部に3，4人の時代だったので、今とはずいぶん環境が違っていたそうです。
とは言え、最初から先生には、いずれは独立したいという意思を伝えてあり、10年間修業し、一通りのことを学んだ後、独立してお店を持つことになりました。

最初のお店は、下土狩商店街の中にあるピンクのモダンな建物の1階でした。
カズオさんは、地域とのお付き合いをとても大切にしてきたそうで、16年間の間に少しずつ地元に受け入れられ、溶け込んでいく努力を重ねてきました。
お客様に対しても、繋がりを大切にしてきたので、お友達の紹介制度があります。一方で、広告宣伝は一切出さず、口コミだけでお客様を集めています。
不思議なもので、人が人を紹介するときは、紹介する側・紹介される側のどちらにもそれぞれ良い意味での責任感が生まれるため、自然に良いお客様が集まるようになったそうです。

カズオさんは、子供のころからサッカー少年で、小学校時代のチームメイトとは現在でも交流があり、日本代表戦の日にはお店の屋上に旗を掲げ、2階のテレビを囲んで、みんなで応援するので、お店は即席スポーツバーのようになるそうです。
夏の長泉町のイベント（わくわくまつり）の時も、「連」で踊る人たちがお店でセッティングして出かけて行ったり、時々に合わせて、お店はいろんな空間にチェンジしながら、みんなの交流の場となっています。

近年は静岡県美容組合でも青年部長として、これまでの経験を活かし、上の世代と若い世代の橋渡し役も務めているそうです。

美容師と言う職業は、時代の変化を常に先取りして、技術やサービスを提供していかなければならないのと同時に、自分自身のポリシーとして、ぶれない部分も持ち続けるという、一見アンバランスなことを、上手くバランスをとりながら取り組んでいかねばならず、難しい側面を持っているので、老けてはいられないし、日々意欲的に仕事と向き合っているそうです。
美容室に来た時だけが素敵なのではなく、日頃もお手入れしやすく、スタイリングが保てるような髪型を、それぞれの髪質や、ライフスタイルにあったスタイルを提供できるよう、これからもがんばっていかれるそうです。

（2013.2取材当時の内容です。）